
過去の傷は簡単には消えない
過去に傷ついたこと、嫌だったことなどを、今でも思い出すことはありますか?
いじめや人間関係の傷は、大人になっても心に残ることがあります。
「あの人を許せない」
「あの出来事を思い出すと苦しくなる」
そんな気持ちを抱えている人も少なくありません。
あるいは、そうした記憶をなかったことにして、心の奥に深く封印してしまっていることもあります。
子どもの頃には見えなかったもの
大人になり、自分自身もさまざまな経験を重ねる中で、昔は見えなかったものが見えるようになることがあります。
辛い思いをさせられた人について「あの人にも事情があったのかもしれない」
と思える日が来るかもしれません。
もちろん、だからといって傷つけられた事実が消えるわけではありません。
けれど、人を「良い人・悪い人」で分けるのではなく、
それぞれが何かを抱えながら生きている存在として見られるようになることがあります。
その人がなぜそのように行動したのか、その背景が分かるようになってくるのです。
共通の人間性という考え方
セルフコンパッションでは、
Kristin Neffが提唱した「共通の人間性(Common Humanity)」という考え方があります。
人は誰もが失敗し、
誰もが傷つき、
誰もが不完全な存在なのです。
苦しみを感じるのは、自分だけではありません。
一見幸せそうに見えていても、なんでもできる人のように見えていても、
人間であれば誰もが経験するものです。
若いうちは、なかなかそのことに気づきにくいのですが、
それを理解できるようになると、他人を見る目も、自分を見る目も変わっていきます。

他人への理解は、自分への理解につながる
辛かったことを思い出すときに
相手にも事情があったと気づけるようになると、
「あの時の自分も精一杯だった」
と、自分自身にも思えるようになることがあります。
他人に向けていた優しいまなざしが、自分にも向くようになってきます。
過去の、できなかった自分、情けなかった自分、嫌なことをしてしまった自分…
そこにも理由があったのです。
それなりに頑張っていましたね。
そのことに気づいてあげてください。
よくやってきたね。
あなたがいるから、今の私がいるんだよ。
ありがとう
と、幼いころの、若いころの自分をどうぞ抱きしめてあげてください。
過去を感謝で包めるようになるということ
それは、つらかった出来事を美化することではありません。
傷ついた経験は傷ついた経験として認めながら、
「その経験から学んだこともあった」
と思えるようになること。
そして、過去と戦い続けるのではなく、
人生の一部として抱きしめられるようになることなのかもしれません。
過去に関わった誰かを許し、
過去の自分もそのままに受け入れることができるなら、
今まで意識していなかった、心の奥の奥の緊張した部分や、硬い部分が
いつの間にかほどけてきて、
朝の光や、鳥のさえずり、水のきらめきが、
なんだか今までよりも色鮮やかになってくるかもしれません。

