疲労感、肩こり、頭痛、労感、肩こり、不眠、関節の違和感など、40代後半ぐらいから何となくの体調不良を感じることがあります。
ホルモンバランスの変化に伴って、心と身体に様々な症状があらわれてくることがあります。
例えばこのようなことがあるかもしれません。
更年期世代の体の悩み
- ホットフラッシュ(ほてり・のぼせ)
急に顔がカーッと熱くなる、汗が噴き出す。 - 発汗(寝汗・異常な汗)
特に夜間の発汗や、ちょっと動いただけで汗だくに。 - 冷え性
特に手足の冷え、寒暖差に弱くなる。 - 動悸・息切れ
急に心臓がドキドキする、不安感とセットで出ることも。 - 肩こり・首こり
慢性的で、頭痛を伴うことも。 - 関節痛・腰痛
今までなかった関節の痛み、朝のこわばり。 - 疲れやすさ・だるさ
寝ても疲れが取れない、日中もぐったり。 - めまい・ふらつき
立ちくらみや不安定感。 - 皮膚や髪の乾燥・抜け毛
ハリがなくなり、抜け毛が増えたり肌が敏感に。 - 体重増加・体型変化
特に下腹部や腰回りに脂肪がつきやすくなる。 - 尿漏れ・頻尿など

更年期世代の心の症状
- イライラ
些細なことで怒りっぽくなる。 - 気分の落ち込み・うつっぽさ
理由もなく涙が出たり、何もやる気が起きない。 - 不安感
将来のことや体調への不安。 - 集中力の低下・物忘れ
仕事や家事でミスが増えたり、人の名前が出てこない。 - 不眠
寝つきが悪い、夜中に目が覚める、早朝覚醒。

更年期の症状は個人差がとても大きく、「全く気にならない人」もいれば、「日常生活に支障が出るほどつらい人」もいます。
この時期は体調だけでなく、子どもの独立、親の介護、自身のキャリアなど人生の大きな転機が重なることも多いので、心と体の両方へのケアが大切です。精神的なことが原因で更年期の不調が出てしまうこともあるのです。
それで、このゆらぎ期に役立つセルフケアをご紹介します。
体調管理・セルフケア
- ホルモンバランスを整える食事
大豆イソフラボン(豆腐・納豆・豆乳)、ビタミンE(ナッツ・アボカド)、鉄分(レバー・ひじき)、オメガ3(青魚・亜麻仁油)など。 - 腸内環境の改善
腸と女性ホルモンは密接に関わっているので、発酵食品・食物繊維・水分を意識。 - 睡眠の質を上げる習慣
夜スマホを控える、入浴は寝る1〜2時間前、アロマ(ラベンダー・オレンジスイートなど)を活用。 - 簡単な運動・ストレッチ
ヨガ・ウォーキング・ピラティス。特に骨盤底筋を鍛える運動は膀胱トラブルにも効果的。
腸内にエクオール生産菌がある人は、大豆イソフラボンからエストロゲン様作用のあるエクオールが作れます。それで、比較的に更年期の不調が少ないようです。小さいときから大豆製品をよく摂ってきた方の腸にはそれがあるのではないかと思いますが、欧米型の食事がメインだった方にはない可能性がありますね。
普段から運動をよくしている方も不調が少ない傾向があります。
運動によって男性ホルモンが増えると、更年期の症状が出にくいといわれます。
心のケア
心のケア・ストレスエアは、身体の健康を守るうえでもとても大切です。
心と密接につながっていて、心の症状がいろいろな形で身体にあらわれてきます。
心のケアに役立つ方法をあげてみますね。
- 深呼吸・瞑想・ヨガ イライラや不安の軽減に「今、ここ」に注意を向ける時間を作る
- 自然に触れる リラックスできて、ストレスホルモンが減少
- 自分の気持ちを書き出す(書く瞑想) 気持ちを書き出すことで心の整理ができてストレス軽減
- 信頼できる人と話す 気持ちが楽になり、気持ちが整理されたり、新しい気づきがあったりする
- 「自分を責めない」習慣 体調の悪さは気のせいでも怠けでもない、ホルモンのせい
- 好きな音楽や映画に浸る
- 好きなこと・趣味を持つ
- アロマセラピー

どんな精油を使いますか
ゆらぎ期に役立つ精油はでんなものでしょうか。
気持ちが落ち着いたり、リフレッシュできる好きな香りで気持ちがまぎれるかもしれません。
🌸イランイラン
濃厚な花の香りで、催淫作用がある精油です。そんな特徴も女性ホルモンをアップしてくれそうですが、この精油に含まれるゲルマクレンDという成分は月経を促進する「通経作用」があるといわれます。リラックス効果もあり、ホルモンバランスの乱れによる不調にも役立ちます。
また、この精油に含まれるβカリオフィレンという成分は、プロゲステロンの低下が原因で起こるマタニティブルーの抑うつ状態を改善するという研究結果や、黄体後期の抑うつ状態(PMSなど)を改善するという研究結果も発表されています。
プレ更年期の時期は、エストロゲンより先にプロゲステロンが減少するということを聞いてからは、40代の方によくイランイランをお勧めしていました。この濃厚で甘い香りは苦手な人も多いという印象があったのですが、この年代の方にはおおむね評判が良かった印象です。このイランイランにシトラス系の精油を加えると、とても香りがよくなります。
この時期ぐらいでしょうか、私もアロマトリートメントを受けるときに「イランイランを」と言っていたことを思い出します。
あと、この年代の人で香辛料のコショウにはまっているという人を何人も知っています。コショウにはβカリオフィレンがたくさん含まれています。
🌸ゼラニウム
ゼラニウムはバランス調整が得意な精油で、ホルモンバランスも調整してくれます。
PMS(月経前症候群)や更年期による不調をやわらげる目的でよく活用されています。
実際に、アロマ環境協会が行った調査では、40~50代の女性たちがゼラニウムの香りを垂らしたシールを身に着けて過ごしたところ、
「不安感が減った」
「気持ちが前向きになった」
「肌や髪の潤いが戻ってきたと感じた」という声が寄せられました。
さらに「イライラや落ち込みが減った」
「頭痛やホットフラッシュが楽になった」
「抜け毛が減った」という体感もありました。
香りを身近に置くだけでそんな効果があるんですね。ゼラニウムは女性の心と身体に寄り添う頼もしいサポーターです。
🌸フェンネル
フェンネルは、昔から冷えや痛みを伴う消化器系の不調に使われてきましたが、その鎮痛作用が月経痛も軽減するということで、月経困難症の代替療法としても使われています。
フェンネル精油に多く含まれるトランスアネトールはエストロゲン様作用を持ち、ホットフラッシュ、睡眠障害、疲労感、過敏症、うつや不安状態にも効果が期待されます。
精油の使用だけではなく、ハーブティ-でも利用できます。
スパイシーな香り高いお茶で、更年期障害の緩和のほかに食べすぎやお腹の張り、むくみ改善などにも役立ちます。
🌸クラリセージ
少し土臭いハーブの深みのある香りの精油です。
この精油に含まれるスクラレオールという成分は、エストロゲンと構造がよく似ているので、体の中ではエストロゲンのような働きをするといわれます。それで女性特有の不調のためによく使われてきました。
でもこのスクラレオールというは分子サイズが大きすぎて、水蒸気蒸留法では抽出がしにくいのです。ですから精油の中にごく少量しか含まれていません。その効果を十分取り入れるためにはちゃんと成分がチェックされているメディカル仕様の精油を探して使用することをお勧めします。
私自身の実感としては、クラリセージはゆらぎ期の全部の症状に良かったと感じています。植物油に希釈して、吸収しやすい皮膚の柔らかいところに塗っています。
エストロゲンが低下すると骨や筋肉の回復力も低下するので、使いすぎた後の筋肉にも塗ります。クラリセージは鎮痛作用もあるので、筋肉痛によく、しかも筋肉を回復してくれたらいいな…と、愛用しています。
同じものを長く使い続けることには抵抗があるので、ブレンドを変えたり、精油を変えたりの変化をつけながら、精油でホルモンサポートをしています。
詳しいレシピや使用方法などについては、講座の中でお尋ねくださいね。
スクラレオールについて
一般的には、この精油はエストロゲン依存性疾患(子宮内膜がん、乳がん、子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫など)には禁忌とされていますが、興味深い報告もあります。それは、逆に乳がんの予防効果がみられる可能性がある、というものです。
人工の合成エストロゲンは、乳がんや心疾患のリスクが心配されますが、植物由来の天然成分には、また違った働きが期待できるかもしれません。たとえば大豆に含まれるイソフラボンは、エストロゲン様作用を持ちながらも、乳がんの発症リスクを減少させるといわれています。同様に、イソフラボンから作られるエクオールも乳がん予防に役立つという報告があります。
これは、イソフラボンがエストロゲン受容体に結びつき、強いエストロゲンの作用を和らげる“ふた”のような働きをするためと考えられています。スクラレオールも、おそらくこれと同じようなメカニズムで、体に穏やかに寄り添いながら、良い方向に働きかけてくれるのではないでしょうか。さらに詳しい検証が進むことを願っています。
加えて、クラリセージには、エストロゲン様作用に加えてホルモンバランスの調整にも役立つとも考えられています。
いくつかの文献や臨床報告では、クラリセージの芳香成分が副腎皮質ホルモンの分泌を穏やかに刺激し、ストレスによるホルモンバランスの乱れを整える働きが示唆されています。この作用により、男性ホルモン(テストステロン)低下による疲労感やうつ症状の改善、性欲減退へのサポートとして利用されることもあります。
さらに、クラリセージには鎮静作用と神経バランス調整作用があるため、ストレス性のホルモン変動による不調(男性の更年期=LOH症候群)に対しても、心と体の両面から穏やかにアプローチできると考えられています。
女性だけではなく、男性にも嬉しい作用があるというところが、精油の特徴ですね。
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