
先日、香水作りのワークショップを開きました。
一言で「香水」と言いますが、その香りの強さで
パルファン(perfume)濃度が15~30%の5~7時間持続する濃厚な香りです。
オードパルファム(Eau de parfum) 濃度が8~15%で、5~6時間持続する濃い香りです。
オードトワレ(Eau de toilette)濃度は5~8%で3~4時間香る、普段使いのしやすい香りです。
オーデコロン(Wau de cologne)濃度は3~5%で持続時間が1~2時間というとても軽い、リフレッシュに適した香りと言えます。
香りは、昔は神殿や王族の間で使われるもので、特別なものとされていました。
しかし、私たちがよく知る「オーデコロン」の誕生は、18世紀のドイツ、ケルンという街から始まりました。

革新的な香りを生んだイタリアの床屋さん
「オーデコロン(Eau de Cologne)」はフランス語で「ケルンの水」という意味なんです。
ケルンは、ドイツ西部にある古都の名前です。
この香りの水が初めて作られ、広まったのがこのケルンの街だったことから、
そのまま「ケルンの水=オーデコロン」という名前がつきました。
イタリア出身の理髪師で調香師のジョヴァンニ・パオロ・フェミニス(Giovanni Paolo Feminis)。彼は、祖国イタリアで伝わる香りの水のレシピを改良し、1709年にドイツ・ケルンの街で「アクア・ミラビリス(不思議な水)」という名の香りの水を販売しました。
これが、後に「オーデコロン(ケルンの水)」と呼ばれる香りの原型となります。フェミニスは、爽やかなシトラスとハーブを使い、当時としては画期的に軽やかな香りを完成させたのです。
1709年、イタリア出身の調香師、ヨハン・マリア・ファリナがケルンの地にやってきました。彼はそこで、故郷のイタリアの澄んだ朝の空気を思い出しながら、ひとつの香りを生み出します。
その香りは、レモンやベルガモット、ネロリといったシトラス系の軽やかで爽やかなもの。当時はムスクやアンバーグリスなど、重厚で濃密な香りが主流だった時代。この新しい香りは、まるで朝露に濡れた花と果実のように、優しくみずみずしかったのです。
ファリナはそれを「私の故郷イタリアの春の朝のようだ」と手紙に記しています。
「ケルンの水」と呼ばれて
やがてこの香りは、**「ケルンの水(Eau de Cologne)」**として知られるようになります。ヨーロッパ中の貴族や王侯貴族の間でたちまち評判となり、ケルンの街の名がそのまま香りの名前として刻まれることになりました。
特に、あのナポレオン・ボナパルトもこの香りを愛用していたことで有名です。彼は遠征のたびに数十本のオーデコロンを持参し、朝も夜も、手紙を書く前にも香りをまとうほどだったとか。
香りをまとうことが、ただの嗜みではなく、気持ちを整え、身だしなみを整え、そして運気すらも高めるものと考えられていたのです。

この「ケルンの水」に入っているベルガモットですが、この精油を使うと香水の香りが、とてもよくなるので、昔はよく使われていました。首に香水を直接吹きかけたために、色素沈着を引き起こしてしまうことがよくありました。
今は、ベルガモットを0,4%以上の濃度で使用した場合は48~72時間以上日光に当てないようにと勧められています。香水に使用する場合は、光で反応するフルクマリンという成分の入ってないベルガモット(フルクマリンフリー)を選んでくださいね。
200年以上続く伝統とロマン
ファリナ家のオーデコロンは、その後も長くヨーロッパの香水文化の礎となり、現代でも「4711(フォーセブンイレブン)」という名で、同じケルンの街に本店を構えています。
200年以上前に生まれたその香りは、今もなお人々の心を癒し、爽やかな記憶を呼び覚ます力を持っているのです。
香りは、時を越えて私たちをつなぐ
今、あなたの手元にある香水のボトル。その中にも、こうした歴史とロマンが静かに息づいています。
ふと香りをまとったとき、18世紀のケルンの街並みや、朝霧のイタリアの空気を思い浮かべてみるのも、素敵なひとときかもしれませんね。
香りには、目には見えない物語があります。ぜひ、そんな歴史にも耳を傾けながら、香りの世界を楽しんでみてください。

