
懐かしい香りに触れたとき、
ふと昔の記憶がよみがえってくることはありませんか?
例えば、
誰かがつけていた香水の香り。
木を燃やす匂い。
子どもの頃に使っていた消しゴムの香り。
私は、ふと漂ってきた ネズミモチの花の香り で、
完全に忘れていた子ども時代の情景が
一瞬で鮮やかによみがえってきたことがあります。
このように、香りによって記憶が呼び起こされることは「プルースト効果」と呼ばれています。この反応が、高齢者の脳の若返りにも効果があるとも言われているんですよ。
なぜこんなことが起こるのでしょうか。
香りは鼻から入ると、
“記憶”をつかさどる 海馬(かいば) や
“感情(特に不安や恐怖)”を処理する 扁桃体(へんとうたい) などが集まる
大脳辺縁系(だいのうへんえんけい) に直接伝わります。

つまり香りは、
考える脳(大脳新皮質)ではなく、
感情・直感・記憶・自律神経・ホルモンバランス などを司る脳の場所に最初に届くのです。
だからこそ、香りは
- 記憶が呼び起こされる
- 気分が変わる
- 一瞬で安心する
- 涙が出てくる
- 元気が出る
といった“心の変化”を一瞬で起こします。
そしてこちらが、香りがどのように鼻の奥を通って
脳に届いていくかを示した図です。

鼻から鼻から入ってきた香りの分子は、
鼻の奥にある 嗅上皮(きゅうじょうひ) という部分に届きます。
ここには 嗅細胞 があり、そこから伸びている細い毛のような
嗅毛(きゅうもう) が香りの分子をキャッチします。
キャッチした刺激は電気信号となって
まず 嗅球(きゅうきゅう) に送られ、
そこから脳の 嗅覚野 へと伝わり、
ここで「どんな匂いか」が判別されます。
香りの情報は、このように 鼻から脳へ“ほぼ直通”で届くため、
痛みの情報が脳へ伝わるよりも早く、
なんと わずか0.2秒ほど で脳に達して、まばたきより早く心に届きます。
そして脳に伝えられた香りは、
大脳辺縁系(だいのうへんえんけい) に送られます。
大脳辺縁系は、
感情(扁桃体) や 記憶(海馬) が関わる場所です。
そして、この大脳辺縁系からの情報は、
自律神経の中枢である 視床下部(ししょうかぶ) に伝わります。
そして自律神経に働きかけるため、香りは心だけでなく、体にもさまざまな変化を起こします。
- 呼吸 が深くなる
- 心拍 が落ち着く
- 緊張 → リラックス へ切り替わる
- 体のこわばり がゆるむ
香りを吸い込むだけで身体が緩んだり、
不安が落ち着いたりするのは、
この“脳のルート”が働いているからなのです。
「気持ちが落ち着いた」とか「不安が薄れた」とか、頭で考えることなくいつの間にか変わっていた…それが香りの力だと感じています。

「たかが香り、されど香り」。
香りは、五感の中でただ一つ、大脳皮質を通らない感覚です。
頭で考える前に心に届く…そんな特別なルートです。
日常の中で香りを使う具体的な方法を学べるオンラインのアロマ講座もあります。
あなたの毎日が、少しラクになる香りが見つかりますように。
